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経営者に求められる倒産リスク対策とは?
第2回 内部要因のリスク
公開日:/最終更新日:
|リスクマネジメント
1. 内部要因リスクの把握
2. 内部要因リスクの対策
3. 内部要因リスクの対策を行うには
経営リスクの中でも、人的要因や情報管理に起因する要因など、経営に影響を与える問題には企業内部の要因によるものが多く存在します。外部要因は発生自体を自力で防ぐことが難しいため、回避や発生した際の対策を行うのに対し、内部要因では発生自体を抑制することも重要となってきます。
1. 内部要因リスクの把握
日本では古くから経営資源を考える際の要素として「ヒト、モノ、カネ」が定着しており、これに「情報」を加えた4要素が現在では定着しています。また、近年は更に「時間」や「知的財産」などが加えられることも多く、「ヒト、モノ、カネ」の実体の資源が重要だった時代から、「情報」や「時間」などの無形の資源も重要な時代になってきています。そして、これらの経営資源に対してのリスクが内部要因のリスクと言えます。
ヒト
・ 経営者自身、従業員など人に起因するリスク
経営判断ミス、経営者の資質の問題、不健全な組織、従業員による犯罪や不祥事、様々なハラスメント、コンプライアンス違反など
モノ
・ 商品や不動産、設備などに起因するリスク
商品の品質や数(量)の杜撰な管理、サプライチェーンマネジメントができていないなどの不十分な物流管理、老朽化や消防設備の不備がある社屋や工場、メンテナンスが行き届いていない設備など
カネ
・ 資金調達や内部留保などの財務に起因するリスク
財務内容の脆弱化により資金調達体制ができていない、キャッシュフロー管理ができていない、内部留保の蓄積がない、無駄な固定費が多い、株式投資の失敗など
情報
・ 情報収集能力や情報セキュリティ能力に起因するリスク
情報収集能力および分析力の不足による競争力低下や判断の相違や遅れ、セキュリティ対策不足による情報漏えいやサイバー攻撃、SNS対策不足など
時間
・ 効率化や処理速度、対応速度による差で後れを取るリスク
意思決定や実行に時間がかかり競合に先を越される、業務効率化が進まず残業増加や人手不足に陥るなど
その他、知的財産など
特許やブランド、著作権等の知的財産の他、技術力、ビジネスモデル、スキルなどは、競争力強化や信用力強化、新たな利益創出などに活用され、重要な経営資源となっています。そのため、特許権や商標の取得などによる保護を行い、侵害リスクの対策を行うことが有効です。
2. 内部要因リスクの対策
内部要因のリスク対策では、発生した際の損害の大きさや発生率を加味し、優先順位をつけて、発生自体の抑止や予防、発生した場合の速やかな対処という観点で対策を行う必要があります。
主な内部要因リスク対策
・ 内部統制による組織体制の構築と規定の策定および第三者による監査
・ システム化や設備の整備による適切な管理と効率の向上
・ 社員教育や社員育成の実施と定期的な内容更新
・ 社員相談窓口およびお客様相談窓口の設置
・ 情報収集力の強化とSNS等を含めたインターネット対策
など
参考)自社の内部統制は本当に機能していますか?【第2回 内部統制の体制づくり】
リスクの発生を防ぐための管理や教育を行うとともに、発生時に迅速に情報伝達が行え、行動に移せる体制を整えるよう意識することが大切です。また、相談窓口は社員やお客様からの情報を収集するという意味でも重要度が高くなっています。情報収集においては、信用できる情報源をできるだけ多く確保しておくことで、リスク発生の抑止や発生時の早期対処に繋げられる可能性が高くなります。
3. 内部要因リスクの対策を行うには
リスク対策は、専門の部署や専門の人員がいる場合を除き、自社のみで行うより専門的な知識を持つ外部に協力を依頼する方が効率的かつ効果的と思われます。
しかし、まずは自社で見直しを行い、改善を検討すること自体が大切です。具体的には以下のようなものが挙げられます。
・ しっかりとした事業計画の立案
・ 迅速に判断や行動が行える社内体制
・ 内部留保の確保や正確な財務状況の把握
・ 経営者および従業員のコンプライアンス意識の定着
・ 情報入手経路の確保および情報収集力の育成
など
経営リスクは、売上や利益、固定費、人員など、自社の事業自体に問題が発生するリスクと、犯罪やハラスメント、セキュリティ、コンプライアンス違反などの事業外で問題が発生するリスクの大きく2つに分けることができます。
どちらも経営に大きな打撃を与える可能性がありますが、事業自体のリスクは、どの経営者も意識していると思われます。ただ、自社の課題感を把握するための事業の見える化ができておらず、どう対策してよいかわからない場合や、当該課題への対策が不十分なこともあると思われます。
事業の見える化により精度の高い課題感を共有するとともに、それらの結果をもとに経営陣で見直したり、外部に相談したりすることで、見直しと改善を行うことと、継続的に見直しを行える体制づくりが必要となります。
また、事業外リスクの対策では、経営者自身も含めた全社員がコンプライアンスをしっかり認識することは今や必須と言えます。加えて、現代では情報の収集や活用、情報による迅速な判断などが業績を左右することも多く、情報によって自社が窮地に陥ることもあります。
AIの活用も一般化し、情報収集範囲も拡大しましたが、それに伴い、収集した情報の分析や精査など、活用する側の能力も求められることとなり、情報を扱う力の育成は喫緊の課題と言えます。
このような改善の検討を行い、明確な課題の他、どこに問題があるのかがわからない、どのように対策すればよいかがわからないなどを含め、経営者自身が自社の実情を認識することが第一歩と言えます。その上で、経営陣による課題化の取り組みやリスクマネジメントの支援を行える外部企業や専門家に協力を依頼することで、より効果的な対策が行えると思われます。
今回は、経営リスクの内部要因の対策について記載させていただきました。内部要因のリスクは多くの企業が経験することと思われますので、致命傷とならないよう対策を行い、経験したことを次の改善に反映できる体制とすることも大切です。次回は外部要因などについての掲載を予定しています。
株式会社TMRでは、リスクマネジメント体制の構築支援を行っています。組織体制の最適化支援や内部通報制度、従業員研修による意識改革など、独自のノウハウと事案発生の企業や弁護士事務所からの多岐にわたる問題解決で得た豊富な実績を元に効果的な支援を行っています。
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