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経営者に求められる倒産リスク対策とは?
第1回 倒産を防ぐためのリスク対策
公開日:/最終更新日:
|リスクマネジメント
1. 倒産の主な要因
2. 経営リスクの把握
3. 経営危機に直面した際の対処
コロナ禍の折には国の支援策(助成金・給付金)等及びコロナ融資により、企業倒産件数が低く抑えられました。その後、経済活動も再開し、状況は改善されたかのようにも思えますが、資材高騰・人材不足・後継者不在・円安など環境の変化も大きく、こういった変化への対応ができずに倒産してしまう企業や苦境に立たされている企業も少なくありません。日本国内では、年間倒産件数が3年連続で大幅増となり、2024年は11年ぶりに1万件を超える倒産件数となったそうです。
日本では、失敗を恥ととらえ、挑戦することに消極的な文化的背景もありますが、小さな失敗を繰り返して成長できる経営体制とし、そこで得た行動のプラスを見つけていくことが必要ではないでしょうか。
1. 倒産の主な要因
倒産する要因としては、販売不振は元より、原料の急激な高騰に対し価格転嫁できない場合、人手不足による売上減、売掛金の回収遅延や不能など様々な要因があります。また、代表的な要因として以下のようなものがあります。
経営判断のミス
経営者自身の不適切な判断で倒産の危機に陥ることがあります。感情的な判断や公私混同、決断力や実行力の欠如などに加え、ビジョンのない経営運営、具体性のない新規事業参入など、気づかずに衰退していく要因があります。
市場把握の遅れや対応力不足
市場トレンドの把握が不足し、人口減少や環境の変化、需要の変化、技術の進化など、常に変化していく状況に適時対応できず、または頑なに変化を拒む経営指針などにより、競争力を失い、時流に遅れ、販売不振や顧客離れに陥り事業継続が困難となります。
外部への依存度が高い
特定の取引先へ偏った供給シェアや、特定の取引先へ偏った販売シェアによるリスク、温暖化に伴う異常気象や地政学的リスクに伴う食料・原材料の不足や高騰に対応ができなくなることがあります。
人材管理の不備
採用時のミスマッチや容易に転職できる時代などで人の確保の難しさや人手不足で事業が円滑に行えなくなり、継続が困難となることがあります。また、育つ環境が整備されず、主要な人材が退職することにより、業績を悪化させるケースもあります。人材確保が難しくなってきている背景には、雇用形態の多様化や労働環境の改善が大きく進んだ影響があると言えます。
財務管理の不備
与信管理やキャッシュフロー予測など、適切な従業員の与信管理のマインドの強化と財務管理が行われなければ、売掛金回収不能や内部留保の不足などにより、黒字でも資金繰りが行えず倒産することがあります。
法令遵守・コンプライアンス遵守の対策不足
商取引における法令遵守はもちろんのこと、コンプライアンス遵守も含めた対策を日常の業務や行動の中で、常に意識し、実践することが重要であり、その不徹底により不祥事等が発生した場合、それまで順調だった大企業でも一気に経営危機に陥る可能性があります。
2. 経営リスクの把握
経営者および経営陣は倒産要因を経営リスクとしてとらえ、対策する必要があります。リスク対策を行うことで危機の低減・防止ができ、不意の危機でも柔軟に対応できるようになることが経営危機を回避する有効な手段です。
外部要因のリスク
・ 自然災害などの自然環境の変化
・ パンデミックによる労働環境の変化
・ 国内外の経済政策の変化
・ 社会的、文化的な変化および法改正など
・ 取引先の倒産、競合他社の参入や急成長
・ 金融機関の方針変更、市場環境の急変など
外部要因による影響は、インパクトが大きいことも少なくありません。様々な変化が発生した場合を想定した(先読みした)対策や市場調査や企業調査など情報収集が必要となります。
内部要因のリスク
人的要因
・ 経営判断ミスなどの経営者自身や経営自体のリスク
・ 従業員による犯罪や不祥事、ハラスメント等のリスク
・ コンプライアンス違反など
情報管理能力
・ 情報収集能力不足による対応の遅れや判断ミス
・ 情報漏えい等、情報管理能力不足
財務管理能力
・ 資金調達や内部留保などの管理
・ キャッシュフローを把握した適切な入出金管理
その他
・ 適切な在庫管理や期日や納期などの管理がシステム化できていないなど
内部要因に対しては、内部統制による組織体制構築や規定策定などの他、企業体質の問題などに対して、コーポレートガバナンスの取り組みも重要視される傾向にあります。
近年のリスクの特徴として特に考慮しておく必要があるのが、SNS等の発達による情報伝達です。経営者や従業員の不用意な発言や行動、企業の不祥事などは瞬く間に拡散され、不買運動やブランド価値低下を引き起こし、危機的状況に陥ることもあります。対策として、社内教育の実施の他、企業体質に問題がないかを第三者に監査してもらうことなども有効です。
3. 経営危機に直面した際の対処
様々な要因により実際に経営危機に直面してしまった際、どのように対処を行うかという観点でもリスク対策を考えておくことで、より具体的な備えを検討することができます。
予兆を感じ出す時期
倒産した企業の経営者は3か月前~1年前に予兆を感じていることが多いと言われており、事象としては、内部留保の減少、大口得意先の倒産、業界競合激化などがあります。
考えられる様々な要因を想定し、予兆をいち早く掴み、要因が拡大しないように防止するとともに、予兆を感じた際、短期間で対処できるよう日頃の備えが必要と言えます。
経営危機を察知した際に行うこと
危機を察知した際の対処として、営業戦略の見直しや新規事業の立上げなどの他、リストラやコストカットなどの合理化策の断行も必要ですが、いずれの施策も急に行って成果を出すことはなかなか困難です。
対処方法を加味した上で、実行した際に円滑に行える組織体制や、状況把握が迅速に行える情報入手経路の確保なども重要です。
経営危機を乗り越えるために
危機を乗り越えるための対策として、不測の事態を考慮した内部留保の確保は非常に有効です。また、しっかりとした事業計画を立てることや、日ごろから事業判断を迅速に行える体制を構築することで、危機発生時にも効率的に対処できる可能性が高くなります。逆に先送りが常態化すると、危機の対処も後手に回る可能性が高くなります。
これらの危機はその度合いの大小はあるものの、多くの企業が繰り返し経験し、都度乗り越えることとなります。致命的にならないよう対策を行い、乗り越えた後、その経験を糧とし改善を行うことが大切です。
今回は、倒産リスクついて掲載させていただきました。現代は様々な方面で変化が進んでおり、これまでの経営方針では対処できないことも増えてきています。次回からは個別の事項などについて、もう少し詳細な内容を掲載させていただきたいと思います。
株式会社TMRでは、リスクマネジメント体制の構築支援を行っています。組織体制の最適化支援や内部通報制度、従業員研修による意識改革など、独自のノウハウと事案発生の企業や弁護士事務所からの多岐にわたる問題解決で得た豊富な実績を元に効果的な支援を行っています。
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