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1.倒産動向に見る倒産シグナルを読み取る必要性
(1)倒産件数の推移
(2)新型コロナウイルスの影響による倒産動向
2.倒産リスクのシグナルを読み取る視点
(1)倒産リスクに対する定量チェックの視点
(2)倒産リスクに対する定性チェックの視点
1.倒産動向に見る倒産シグナルを読み取る必要性
(1)倒産件数の推移
「2020年版 中小企業白書」によると我が国の倒産件数は、2009年以来10年連続で減少してきたが2019年の倒産件数は11年ぶりに前年を上回った。しかし、長期的に見ると倒産件数の最も少なかった1990年以降の 30年間で3番目に少ない水準である。規模別に見ると、倒産件数の大部分を小規模企業が占めていることが分かる。
(2)新型コロナウイルスの影響による倒産動向
新型コロナウイルスの感染拡大の影響下、サービス業や小売業を中心に倒産が緩やかに拡大している。2020年4月の倒産件数は前年同月比10%以上増加しており、倒産件数の増加傾向はリーマン危機時の水準を上回りつつあると言われている。破産申請を受け付ける裁判所の業務縮小という面から、倒産集計に載らない廃業を選ぶ事業者が増えている可能性もあると考えられる。今後、倒産企業の件数が増える可能性もあると言われており、取引先の倒産に関するシグナルを読み取る姿勢が必要な状況に置かれているといえよう。
2.倒産リスクのシグナルを読み取る視点
なんらかの兆候が現れていることが多いと言われる。そのシグナルを把握する方法について定量的な視点と定量的な視点があると考えられる。
(1)倒産リスクに対する定量チェックの視点
決算書は企業の事業活動の結果を経営成績及び財政状態の面から現わしている。株式市場に上場している会社であれば四半期ごとに会社の決算書を公表しており、事業に投下されている資金状況も開示している。
① 資金の安全性
事業が赤字でも資金繰りができれば存続できるため、会社が倒産しないかどうかという安全性を判断するには、資金の安全性をみることが優先される。
短期的な支払いを行いうるのに十分な資金があるかどうかがの判断は、貸借対照表の流動資産の合計が流動負債の合計を上回っているかどうかで判断が可能である。流動資産が流動負債を上回っていれば、短期的な支払原資が支払義務をまかなって余りあるという意味でその会社はひとまず安全であるといえよう。
業界によって売掛金の回収期間が長い、または小売業のように現金商売をしていて売掛金の回収期間が極端に短い業界等あるため、業種の特性を鑑みてみる必要性があろう。
② 資本の安全性
企業の長期的な安全性を判断する上で重要なのは、企業が調達した資本の安定度が挙げられる。貸借対照表の貸方(右側)のうち、自己資本以外の借入金などはいずれ返済しなければならない他人資本である。返済義務のない自己資本が多いほど、必然的に資金繰りが安定する半面、返済義務のある他人資本の割合が多いほど、返済と利息の負担が重くのしかかり、経営を圧迫していることが想定できる。
(2)倒産リスクに対する定性チェックの視点
定性的な面からチェックする方法もある。主な視点の一部を紹介したい。
① 幹部社員の急な退職がある
優秀な営業幹部が自社の経営の危険性を察知して転職する、あるいは部下を数人引き連れて独立してしまうケースも見られる。同様に会社の財務を知り尽くしている経理部長が見切りをつけて辞めたという見方も可能である。
② 社長の予定が不明なことが多く発生する
中小企業の場合は、社長自ら資金繰り活動を行うケースも多い。社長の予定が不明な自体が頻繁に起こるようであれば金策に奔走していることも考えられる。
③ 細かい経費節約や給与の遅配がみられる
「社用で使う携帯は自分持ち」「営業で使用する車のガソリン代は自腹」など、従来規程になかったような経費節減策が出たら注意が必要と言われ、運転資金が底をついている可能性があると言われる。さらに「給与の遅配」があったという情報が聞かれた場合、数カ月の範囲で倒産の段階に入ったと考えて差し支えが無いと言われる。
いくつか倒産リスクに対するチェックの視点に触れた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響下、2020年の夏以降、急激に倒産件数が増える可能性もあると言われている。取引先の倒産リスクを回避していくためにもそうしたシグナルを読み取る企業努力が必要不可欠な環境に置かれていると考えられる。調査会社の中には、形式的なチェックでは把握できない倒産リスク度を調べる独自ノウハウを持つ企業も存在しており、有効に活用していきたいところである。
弊社(株式会社TMR)では、長年の調査事業で培った独自の動態分析により、資金ショートの時期を的確に予測するなど、高い評価を得ている調査レポートをご提供いたしております。是非有効にご活用いただければと思います。
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